採るために土地を買う前に
日本の山菜やきのこが採れる場所の多くは誰かの土地です。だから自分の土地を買う人もいます。所有で解決するのは採る権利の問題だけです。農地の許可、森林の届出、狩猟免許、そして生えているものの確実な見分けは別に残ります。
文・マット・ケッチャム(Wild Food Japan 代表・編集)

画像クレジット: 愛媛県久万高原町の里山(Tonytakuya、Public domain)
要点
他人の森林で山菜、きのこ、筍を無断で採ると、森林法第197条の森林窃盗に当たることがあります。許可を求めずに採るなら、自分の土地を持つのが一番はっきりした方法です。
農地を買うには今も農業委員会の許可が必要です。下限面積要件は2023年4月に廃止されましたが、耕作に関する要件は残っています。森林の土地を取得すると、面積にかかわらず90日以内に市町村への届出が必要です。
所有しても狩猟やわなの許可にはならず、植物が安全になるわけでもありません。厚生労働省によると、2016年から2025年の有毒植物による食中毒は218件、死亡は17人です。
なぜ採るために土地を買うのか?
ふきのとう、わらび、筍、きのこが出る斜面は、ほとんどが誰かの土地です。都会に出た家族、市町村、神社、あるいは国有林。籠を持って入ること自体が、中立な行為ではありません。森林法第197条は、森林の産物を窃取した者を森林窃盗とし、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金としています。保安林の区域内なら5年以下または50万円以下です。林野庁東北森林管理局は、産物には山菜を含む草本類、きのこ類、岩石、土砂も含まれると明記し、国有林に入る人には入林届を求めています。
そのため、料理人、飲食店の経営者、小さく畑をやりたい人の中には、自分の土地を買うことを考える人がいます。畑や山林が付いた空き家であることも多いでしょう。考え方としては筋が通っています。所有すれば、採る権利の問題ははっきり片づきます。ただし片づくのはその問題だけで、ほかのルールは名義が移った日から始まります。
農地は誰でも買えるようになったか?
以前より買える人は増えました。2023年4月1日から、農地法第3条の下限面積要件は廃止されています。それまでは原則として、取得後の経営面積が都府県で50アール以上必要でした。ただし多くの農業委員会が地域の別段の面積を定めており、空き家バンクの家に付いた農地では1平方メートルとした例もあります。
許可そのものはなくなっていません。今も農業委員会の許可が必要で、ほかの要件も残っています。福島市の説明は、農業委員会がどう適用するかを示す分かりやすい例です。取得する人が持つ農地をすべて効率的に耕作すること、世帯の誰かが農作業に常時従事すること(原則年150日以上。作業がそれより少なくて済む場合も認められる)、そして地域の水管理に参加する、無農薬の地域で農薬を使わないなど、周辺の農地利用と調和することです。自家消費のための耕作でも許可は可能ですが、大半を遊ばせる計画は認められません。農地を宅地や駐車場にするには、別に転用許可が必要です。
山林ならどう変わるか?
都道府県の地域森林計画の対象となっている森林なら、新しい所有者は所有者となった日から90日以内に市町村長へ届け出る必要があります。面積にかかわらず、売買でも相続でも同じです。国土利用計画法の土地売買の届出を出している人だけは対象外です。登記上の地目では決まらず、実際に森林の状態なら対象となる可能性が高いとされています。2026年4月からは届出書に国籍等の記載が加わり、国外に住む人は国内の連絡先も出します。
この届出は登記とは別の制度です。相続登記は2024年4月から義務になり、相続で取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。空き家と一緒に付いてくる山林は、採る場所である前に、届出の義務と管理の責任です。
所有すればイノシシを捕れるか?
捕れません。鳥獣保護管理法で狩猟とは、指定された46種の狩猟鳥獣を法定猟法で捕ることで、狩猟免許、都道府県への狩猟者登録、狩猟税の納付が必要です。北海道以外の狩猟期間は原則11月15日から翌年2月15日までで、鳥獣保護区などでは狩猟が禁止されています。農作物の被害を防ぐためなど、この仕組みの外で捕獲するには別に捕獲許可が必要です。申請先は市町村で確認できます。
肉を売るのはさらに別の段階です。ジビエを調理・販売する飲食店や販売店は、食品衛生法に基づく食肉処理業の許可を受けた施設で解体された肉を仕入れなければなりません。厚生労働省は、生や加熱不十分のシカ肉、イノシシ肉にはE型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌、寄生虫による食中毒のリスクがあるとしています。自分の土地で捕れたイノシシも、この経路を通るまではメニューに載せられません。
そこに生えているものは安全か?
登記簿は植物を一つも見分けてくれません。厚生労働省の2016年から2025年の10年間の表では、有毒植物による食中毒は218件、患者688人、死亡17人です。イヌサフランだけで22件、死亡13人。ギボウシ、ギョウジャニンニク、ジャガイモ、タマネギと間違えられています。ニラやノビルと間違えたスイセンの葉は74件。トリカブトはニリンソウやモミジガサと間違えられます。
相続した土地には特有の危険もあります。何十年も前に誰かが植えた観賞用植物が庭に残っていて、その一覧は誰も残していない、ということです。厚生労働省は2022年に観賞用植物の誤食防止についての通知も出しています。厚生労働省が繰り返す原則がそのまま正解です。食用と確実に判断できない植物やきのこは、採らない、食べない、売らない、人にあげない。私たちは見分け方の解説を載せません。文章の説明だけでは、現場でこれらを確実に区別できないからです。地域の保健所や、隣に立ってくれる経験のある地元の人に聞いてください。
契約前に何を確認するか?
その土地で食べ物を育てたり採ったりできるかを決める確認は、契約の後ではなく前に行います。
- 地目と実際の状態。農地法の農地か、地域森林計画の森林か、宅地か。
- 農業委員会が、あなたの取得と耕作の計画を許可しそうか。
- 土地までどう行くか。その道が隣地を通っていないか。
- 境界。測量されていない、古い図面にしかないことがよくあります。
- その地域の獣害と、地元で捕獲を担っている人。
- 水利と、畑に付いてくる地域の共同作業。
どこで確認してもらえるか?
姉妹サイトのAkiyazは日本の地方の不動産を扱っていて、こうした確認を物件調査レポートとして行っています。確認済みの事実と、掲載情報や未確認事項を分けた一覧、公開情報で確認できる範囲の用途地域とハザードの確認、仲介業者、市町村、専門家への質問リストが含まれます。地域や物件の種類がまだ決まっていないなら、購入条件の整理・物件探索方針がその一歩前から始まります。どちらもこのページ末尾の「関連動画・メディア」にリンクしています。
どちらも法律相談ではありません。許可と届出を判断するのは農業委員会と市町村で、手続きは行政書士や弁護士が扱います。レポートの役目は、まだ引き返せるうちに、確認する問いを目の前に並べることです。
さらに読む
- 月山近くのクマ被害: 野生動物対応
- 日本でジビエが指すもの: ジビエガイド
- ジビエ解体処理講習: ジビエ流通ノート
出典・参考リンク
- 国有林への入林手続(森林法第197条・第198条の抜粋): Tohoku Regional Forest Office, Forestry Agency (JA)
- 農地取得に係る「下限面積要件」の撤廃: Fukushima City (JA)
- 森林の土地の所有者届出制度: Forestry Agency (JA)
- 狩猟制度の概要: Ministry of the Environment (JA)
- 有毒植物による食中毒に注意しましょう: Ministry of Health, Labour and Welfare (JA)
- ジビエ(野生鳥獣の肉)の衛生管理: Ministry of Health, Labour and Welfare (JA)
- 産地でシカ・イノシシなどを捕獲し、ジビエとして流通させたり、加工品としての販売をお考えの方へ: Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries (JA)
関連動画・メディア
- 姉妹サイトAkiyaz:特定の物件を調べる物件調査レポート: Akiyaz (sister site)
- 姉妹サイトAkiyaz:地域を決める前の購入条件の整理・物件探索方針: Akiyaz (sister site)
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